これが本当の本土決戦death

プロローグ 1


プロローグ(東アジア情勢)

この物語を語る前に背景となる世界情勢を語らなければならない。
少々型苦しくなるが、本来なら普通に勉学に励みながら恋愛を、青春を謳歌していて当たり前の現代日本において普通の少女達が何故戦いの場に身を投じなければいけなかったのか?

それは世界の特に東アジアの動きに間接的に関係するからだ。
しかし、それを懐疑的に思う人もいるだろう。

だが、よく考えて欲しい。
歴史に「もしも」を語るのは無意味なのを覚悟で記すが、太平洋戦争で二発の原爆を食らっても、ソビエトの火事場泥棒的侵攻があっても、もし日本があの時に降参しなかったら…

間違いなく日本本土決戦は行われていたはずだ。
恐らく、日本人の三分の一は死んでいただろう。
特に九州に生まれ育った私もこの世に生を受けることはなかった可能性が高い。何故なら私の祖父母も戦火に巻きこまれ死んでいただろうから。

普段からバカ話に華を咲かせている私の友人達も同様だ。
それ故にこのプロローグを記す必要があるのである。

どういった世界情勢下で彼女達は戦ったのかを知らなければこの物語の輪郭は見えてこない。

ついでに余談となるが

(普通の少女が巨大な軍隊を相手に戦闘を繰り広げる)

まるでマンガかアニメのシチュエーションだが、この物語には読者をワクワクさせる様なヒーローやヒロインは一人も登場しない。

戦争は人間が有史以来、古今東西を問わず繰り広げられた。

この物語はチンギスハンの天才的戦術とか、ナポレオンの栄光と挫折等の壮大な戦争絵巻とは一切関係の無い、只々無意味に傷付き死んでいった最下層の兵士たちの物語である。

しかし、この物語に登場するのは男子士ではなく女子兵士という点では他のどの戦記より特殊性があるかもしれない。

私は文章という手法を使って、75ミリ戦車砲の砲声と履帯が大地を蹴る轟音を再現したいと思っている。

それがこの戦記で語られる、無意味死んでいった高校生兵士達に対する、私に出来る唯一の供養になると思うからである。


2020年1月、その年は単に10
年の節目だけでは無く、日本
にとっても特別な1年の幕開けとなった。

前年の11月、アメリカ大統領選でトラップ氏が就任する。

彼はこれまでの米国大統領とは一線を画し、これまでの強い米国、世界の警察と言われていた今までの地位を捨ててたしまった。
近年まで中東で繰り広げられ
たテロリズムとの戦いで、戦費は嵩み米国民も軍事作戦ではテロは防げない事を悟りトラップの打ち出すある種内向きの政策を支持したのである。